ヘルメット・免許が不要に:道路交通法改正による規制緩和のポイントまとめ

2022年4月20日に衆議院で道路交通法改正案が可決されました。これにより今までは原動機付き自転車 (以下、原付)として区分されていた電動キックボードが、新区分である特定小型原動機付自転車 (以下、特定小型原付) の条件を満たすものと分類され、ヘルメット・免許不要での運転が可能となる規制緩和についてまとめました。
※保安基準については現在国交省で審議中であり最終決定ではありません。


これまでの原付と新しい特定小型原付の違いとは?

まず、特定小型原付の車両の定義を簡単にまとめると以下のようになります。
・電動である
・最高速度20km/h以下に制限されている
・長さ190cm×幅60cm以内である
・特定小型原付に必要な保安部品が装着されている
原付との大きな差は最高速度が20km/hに下げられていることです。

また、原付と特定小型原付での道路交通法の違いは以下の通りになります。

原付 特定小型原付
免許証の有無 原付に運転できる免許が必須 不要
ヘルメットの着用 GSマークやJIS規格のヘルメット必須 努力義務
走行場所 車道のみ 車道、自転車レーン、条件付で歩道
速度制限 時速30km (原付一種の場合) 時速20km
年齢制限 免許に準ずる 16歳以上

ポイント1 免許不要で乗れる

原付は免許証が無いと乗れませんが、特定小型原付では、16歳以上であれば免許証はいりません。
免許証が必須でなくなったことで、近年問題となっている高齢者の免許返納後の移動手段としても利用できますし、学生の通学などにも利用してもらえますので、多くの方に利用機会が広がるでしょう。
一方、免許証を取得することで交通ルールを理解しルールを守る意識を持って乗っていましたが、免許がなくなった場合、ルールを理解するための講習や安全教室など、自転車と同様に安全啓発が必要になるでしょう。

ポイント2 ヘルメットの着用は努力義務

特定小型原付では、ヘルメットの着用は必須ではなくなり、努力義務となりました。しかし、車と同じ車道を走ることを考えると、ヘルメットの着用を推奨します。
原付では、着用するヘルメットの規格が決まっており、GSマークやJIS規格などの安全規格マークのあるヘルメットの着用が義務付けられています。
今回は努力義務となっており、ヘルメットの種類規定はありませんので、自転車で着用しているような通気性が良いものや、やデザイン性に優れているヘルメットをつけることも可能です。多くの方が安全に乗るために、ヘルメットの選択肢が増え自発的に被る方が増えるといいでしょう。

ポイント3  歩道の走行について

よくお問い合わせで多いのは、電動キックボードが歩道で走行できるようになったのか?ということですが、これは、特定小型原付も歩道走行は認められていません。

ポイント4 車両区分の切替えが認められる

今回、新たに1台の車両で、車両区分の切替えが認められました。
切替えが認められるのは、特定小型原付(最高速度20km/h)⇔歩道通行車(最高速度6km/h)となります。この時、今どの状態で走行しているのかが分かるように識別点滅灯火という装置を新たに設置することとし、速度制限と連動していて、最高時速を20kmにしたら青く、6kmにしたら緑に〔現状案〕自動で切り替わることが義務づけられます。
現状議論されている特定小型原付の保安基準についてはこちら 【国土交通省HP】

ポイント5  いつから特定小型原付が始まるのか?

今国会で成立してから、施行までには時間がかかります。
たとえば、車体の保安基準の決定や標識の設置、配布物の交通ルールの書き換え等々、いろいろな準備が必要になりますので、成立後2年以内の施行となっています。
施行されるまでは、まだ特定小型原付という車両区分の運用はされませんので、注意してください。
例えば、「20km/hまでしかスピードを出さないようにするからヘルメットを被らない」というのは現行法の適用で違反となります。現時点では、すべて原付扱いであることをお忘れなく。
また、現在ご利用いただいている電動キックボードや電動バイクは、これまで通り原付としてご利用いただくことに変わりはありません。

安全な利用と普及に向けて

電動モビリティの普及により、現行法では無理があった運用に対してより利用者が使いやすくなるような法律が整備されることになりました。私たちのような製造メーカーや販売会社にも、適正な車体を製造販売する規制もでき、罰則も作られることになります。同じように、利用する皆さんも、きちんと交通ルールを守らないと罰則の対象になります。
これから施行までの間に、充分に新しいルールを確認いただき、事故のない安全な利用をおこなっていただきたいと思います。

 

今後も引き続き、新しい情報について更新していく予定です。